心理相談
視覚に障害を生じるとどんな方もがっかりします。喪失感、孤独感、無力感がつのります。
これらを乗り越えるには誰でも時間が必要です。時には専門家の心理カウンセリングが必要です。
心理カウンセリングが必要なご家族もいます。
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心理カウンセリング
心理カウンセリングは、相談者がよく話を聞き、共感を持って、私見を挟まずに当事者の問題点を整理することで、生活上の問題や悩みに対し、本人自らが向き合い、それを自発的に理解・解決できるように支援することです。似たものには、心理療法、心理コンサルテーション、コーチングなどがあるとされていますが、それぞれ異なるものです。
集団心理療法
臨床心理学の専門家が司会し、同じ問題を抱えた数名のグループで話し合いや活動を行い、 集団内の相互作用を治療に役立てる心理療法のことです。視覚障害を持つ方の間では、日常生活上で同じような問題が生じることが多く、一人で悩むよりも互いの経験を話し合うことで解決に繋がったり、解決できないものでも自分だけではないのだということを認識することで悩みが軽減します。
ピアカウンセリング
ピアカウンセリング(Peer Counseling)とは、障害を持つ仲間(Peer)同士でカウンセリングを行うという意味です。これは、障害を持つ者のことは、同じ障害を持つ者が一番良く理解できるという考え方から始まりました。いわゆるカウンセリングとは異なり、教育を受けたカウンセラーが行うとは限りませんが、共感を持ちやすいという利点もあります。現在では、各地の障害者福祉センターなどで行われています。
うつ傾向にある方との対応での注意点
うつ病になると、ほとんどの人が、死への思いを持ちます。自殺しないように、慎重な対応、接し方が必要です。自殺は、うつのどん底ではなく、その前後に起こりやすいことも要注意です。患者さんの困った言動は、その人のせいではなく症状だと理解した上で、冷静な対応ができるようにしましょう。励ましてはいけません。でも、どう接したらよいのでしょうか。「早く良くなれ」ではなく、「きっと良くなる」と接しましょう。
告知
障害の告知は、リハビリテーションを受ける前提として医師が患者に対して行うべきものという考えがありますが、これには賛否両論があります。しかし、行う場合は、信頼できる医師により、患者の状況と性格に配慮された時と場所を選んで、真摯な態度と言葉で行うべきです。家族などの同席を嫌う場合であっても、決して一人では帰宅させないような配慮が必要です。書面での説明と将来につながる情報を対にした丁寧な説明が不可欠です。
障害受容
疾病や外傷により心身機能の一部を失った者が、その事実を受容した状態や、そこにいたる過程のことです。障害受容の過程を論じた「段階論」にはいくつかの理論がありますが、ショックを受け、現実の認識ができない状態から、感情的な落ち込みを通って適応的な段階に至るという流れは共通しています。障害受容した理想的な状態を論じた価値転換論では、「障害をもつことが自己の全体としての人間的価値を低下させるものではないことの認識と体得を通じて、恥の意識や劣等感を克服し、積極的な生活態度に転ずること」という上田敏の説が有名です。
高次脳機能障害
高次脳機能障害は、脳の損傷によって起きる認知の障害全般のことです。特に記憶の障害、社会的な行動がうまくいかなくなる障害、何かをやろうとすることがうまくいかなくなる障害、注意を向けることがうまくいかなくなる障害の頻度が高く、これらは日常生活に及ぼす影響がとても大きいです。ここに視覚障害が合併すると、さらに行動能力が著しく低下します。
知的障害
知的障害は、知的な発達遅滞のために、社会生活への適応が困難な状態を指します。脳の病気や外傷により発達期以降に生じた場合や老人の認知症は、これには含まれません。しかし、視覚障害にこれらのような知的に明らかな低下が合併すると、日常生活行動への影響は倍増します。
発達障害
発達障害は、発達障害者支援法によると「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」と定義されています。つまり、生まれつきの脳機能の発達のアンバランスと環境との相互作用によって、社会生活に困難をきたす障害のことです。
盲ろう者
身体障害者福祉法では「盲ろう」に関する規定はありませんが、全国盲ろう者協会では、盲ろう者を「身体障害者手帳に視覚と聴覚の両方の障害が記載されている人」と定義しています。厚労省による調査では、日本の盲ろう者数は1万4千人と言われています。盲ろう者は外出、意思伝達、情報収集が困難で、社会参加のみならず日常生活においても誘導・通訳・情報提供の支援を行う通訳介助者が必要になります。
盲重複障害
視覚障害と知的障害・知覚運動障害・てんかん・聴覚障害・精神障害等が重複し、その障害が相乗効果によって、より重度化した場合のことです。知的面の理解力、判断力の遅れと相まって情緒障害があらわれ、適応障害の状態になることもあります。盲学校では、近年、盲重複障害の児童生徒割合が増加しています。
幻視
実際には存在しないものが見えることです。視覚的な幻覚ですが、視覚障害を負うと幻視が生じやすくなります。重度の中途視覚障害者にはよくみられますが、薬物中毒や精神疾患でも生じることがあるため、他人に相談できず一人で悩んでいる人が少なくありません。深刻に考える必要がないことが多いですが、念のため専門医に相談することがよいでしょう。
