眼科一般検査(視機能評価)

POINT

眼科で保有視機能を判定しましょう

(1)視力検査をすることで

 視線の方向にある物の判別能力がわかります

 目の病気を発見するきっかけになります

 眼鏡などで改善できるかがわかります

(2)視野検査をすることで

 視野のどこが見やすいか見えにくいかがわかります

 病気の種類がわかることがあります

(3)色覚検査をすることで

 色の判別がどのくらいできるかがわかります

 病気で生じる色覚異常があるかわかります

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眼科を初めて受診すると、診察の前に問診を受けます。まず、何が問題なのか、そして、それはいつから起きて、どのような経過を辿っているかについて詳しく聞かれます。これまでにどんな病気にかかったことがあるか、どんな薬を飲んでいるか、アレルギーを起こしたことがないかも治療に際して重要な情報です。さらに、ご家族で同様のご病気の方がいるかを知ることも、診断に必要な情報のため、聞かれる場合があります。

眼科での視力検査では、裸眼視力と矯正視力を測ります。裸眼視力は、眼鏡などを使用しないで一定距離(日本では遠見視力を5m、近見視力を30cm)で測定したもので、矯正視力は、レンズを使ってどこまでよい視力がでるかを測定したものです。矯正視力は、充分な明るさの照明下で最もよく見えたときの視力ですが、必ずしもそのレンズを眼鏡として使えるわけではありません。また、遠見視力と近見視力は必ずしも一致しません。

矯正視力検査には、5mの距離と30cmの距離で測定する2種類があります。それぞれの距離では、最高視力を得るためのレンズの度数が異なります。特に、中高年の方では老眼が生じているため、必要なレンズの度数が大きく異なります。これらのレンズの度数は眼のレンズ自体の度数を示すものでもあるので、矯正視力検査は眼の屈折検査としての意味もあります。光学的補助具の選定にはこの値が大変参考になります。

眼圧とは眼の内圧のことで、眼の硬さに関係します。正常値は10mmHgから21mmHgです。眼圧検査では、顎台に顎をのせて頭部を固定して測定します。多くの場合、いきなり風が眼に向かって吹き付けられる方法の器械が使用されています。あるいは、麻酔の目薬をさした後で医師が細隙灯顕微鏡を使って測定する場合もあります。麻酔の目薬はかなりしみます。しかし、緑内障の診断と経過観察には不可欠な検査です。

眼科では細隙灯顕微鏡という器械を使って眼の表面からやや奥を診察します。黒目の表面にある角膜などの透明な組織を見るために、暗室で細い光をあて、それで照らされた部分を観察します。顎台に顎をのせ、額をベルトに押しあてて頭部を固定して動かないようにして診察します。細胞が見えるほどの高倍率で観察するので診察中はじっと正面を見るようにしましょう。医師によっては、同じ器械で眼圧検査を行うこともあります。

眼科ではレンズと強い光源を使用して眼の奥を診察します。眼球を、瞳孔を入り口とする丸い壷に例えると、眼のフィルムにあたる網膜は壷の底にあたります。そこで、これを眼底といいます。ただし、眼科医が眼底という場合、底にあたる一部の範囲だけではなく、瞳孔から覗いて見える網膜表面の全範囲を指します。必要に応じて瞳孔を広げる点眼薬を使用して行いますが、この場合は検査後も、かなりまぶしい状態が4~5時間続きます。

視野検査では、一定の明るさの背景光の上にどのくらいの光を上乗せすると違いがわかるかを視界の各部分で測定します。視力検査が見ている方向だけのはたらきを測定するのに対し、視野検査では測定する範囲に広がりがある点で大きく異なります。周辺の視野は、移動などの行動に大きく影響することがわかっています。視野検査には、コンピュータによる静的量的視野検査と従来から使用されている動的量的視野検査の2種があります。

OCT(光干渉断層計)と呼ばれる眼底カメラを使って網膜の断層写真を撮ることができます。これにより、網膜の構造が顕微鏡で見たときのように把握でき、病気の診断にとても有用です。検査にはレーザー光が使われていますが、眩しさはほとんどなく、目への有害性は認められていません。また、この装置は、網膜疾患だけではなく緑内障の評価にも使用されています。

眼底の血管の状態を詳しく検査する方法です。静脈注射で体内に蛍光色素を入れた直後から10分後くらいまで連続して何枚も写真を撮ります。眼底の広い範囲を撮影するために、見る方向を変えて各眼とも10枚以上の写真を一気に撮ることもあります。痛くはありませんが、かなり眩しい検査です。蛍光色素が体質に合わないこともありますので、検査にあたっては、担当医とよくご相談ください。

網膜の神経がはたらいているかどうかを調べる検査です。網膜色素変性症の診断には欠かせません。瞳を点眼薬で広げて、真っ暗の部屋で暗がりに目を慣らしてから行います。目の中に大きな電極つきコンタクトを入れますが、痛み止めの点眼薬を使いますので痛くはありません。ピカッと目の前で光ります。いくつかのパターンでいろいろな光を見たときの反応を測定する場合もあります。

90%以上の人は色に対して同じような感覚をもっています。色の違いは、目で受ける光の波長成分によります。波長により反応性の異なる、主に3種の錐体と呼ばれる網膜の細胞の光に対する反応の違いから、脳がその波長成分を分析し、色として感じているのです。したがって、光の通路や錐体などの細胞やそれを脳におくる神経や脳内の情報処理回路に異常があると通常の見え方とは異なる色の見え方をきたすことになります。

対象の素材が何であるかを知るための感覚を引き起こす物の性質を総称して質感といいます。質感は視覚だけではなく触覚や聴覚などの感覚においてもいいます。視覚における質感には、これまでに色、光沢、肌理(きめ)、透明感などと言われているものが入ります。質感の違いは、見ている世界全体から見ようとする対象を切り出すためにも使われています。とくに視線方向からくる映像によって質感は正確に判断されます。

どのくらいのコントラストの違いを見分けられるかの指標です。どのくらい小さなものまで見分けられるかの視力とはまた異なった視機能です。白内障などの目の濁りがある場合、視力低下はさほどではなくてもコントラスト感度が低下する場合があります。コントラスト感度の低下は歩行速度などの日常生活に影響します。遮光眼鏡の装用により、コントラスト感度が改善する場合があります。

主に、通常の視力検査で答えることのできない乳児や小児の視力を測るために用いられている検査の一つです。等間隔に並んだ白と黒の縞模様の板とそれと同じ大きさの灰色の無地の板を目の前に同時に見せ、これらのどちらを見るかで視力を推定するというものです。これは、縞模様を好んで見るという乳児期の特徴を利用しています。

墨字の読速度は、視力や視野によって決まるだけではなく個人差の大きいものです。しかし、これを測定することは、保有視覚の活用能力を評価する上でとても重要になります。とくに、拡大鏡などの適正な拡大率を求める場合、すらすらと楽に読める範囲で最小のものを選択することが望まれます。この判定に読速度が指標として使われています。

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